歯周病
歯周病の症状
歯周病になると、歯ぐきの赤みや腫れ、出血、口臭といった症状が起こります。症状が重くなった場合、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。歯周病が原因で歯が抜けてしまうと、噛む力が弱くなり、食べられるものの種類が限られてしまいます。また、歯の本数が減ると、食事をおいしいと感じにくくなり、栄養状態にも影響が出てしまいがちです。歯を失うことは、生活の質やお口の健康に、大きな影響を与える危険性を孕んでいます。
歯周病菌は体にも悪影響を及ぼします!
歯周病は、ただ単に歯が抜けて食事ができなくなるだけではありません。歯周病の原因となる細菌は、出血している歯茎から血管に入り込みます。歯周病菌によって、血管は攻撃され炎症を起こします。さらに血管を通して、体全体に行き渡り、至る箇所で悪影響を及ぼします(歯原性菌血症)。持病の無い、若く健康な方は、免疫力が勝るため大きな問題にはなりませんが、何かしらの病気を持つ方や免疫力が弱まっている方、高齢の方などは、この慢性的な炎症によって、糖尿病、心疾患、脳梗塞、早産・低体重児出産、認知症など様々なリスクが認められます。
このような方は特に歯周病に気を付けてください!
以下に挙げた病気などをお持ちの場合は、その病気を悪化させるリスクや新たな病気を引き起こすリスクが高いため、歯周病にお気を付けください。また、治療やメンテナンスにおいて、それぞれの病気ごとにすべきこと、してはいけないことがありますので、必ず事前に当院スタッフにお知らせください。
心臓や血管に持病がある方
歯周病菌は血管の壁に炎症を起こしやすく、血管が硬くなる・詰まる・破裂するなどの原因となります。特に心臓は炎症に弱い臓器です。心臓や血管の手術が必要な方、手術をされた方は、周術期管理と呼ばれる術前術後の口腔管理が必須となっています。また、人工弁が入っている方は感染性心内膜炎のリスクが特に高くなります。一度感染すると抗菌薬の長期投与や再手術が必要になり、死亡率も高い重篤な疾患です。人工弁が入っていなくても、心筋梗塞や狭心症、心不全、不整脈の既往歴がある方もリスクが高く、治療および継続的なケアが必要です。
糖尿病の方
糖尿病では免疫が弱くなるため、お口の細菌が血管に入りやすく、出て行きにくくなります。また、歯周病菌はインシュリンの分泌を妨げるため、血糖コントロールを悪化させ悪循環に陥りやすく感染症が重症化しやすい体質になります。糖尿病も歯周病も同時に改善しなければ、どちらの病気も大きな改善は見込めないことが分かっています。当院では、糖尿病の方に関しては、かかりつけの内科の先生と連携をして治療に当たります。問診時に通院されている病院を必ずお知らせください。
腎臓病・人工透析中の方
腎臓が悪くなると、体を守る免疫細胞の働きが落ちます。口の中の細菌に対抗しにくい、歯周病が同じステージでも進行が早い、炎症が長引きやすいという状態になります。「普通の人なら耐えられる細菌量でも、透析患者さんには負担になってしまいます。また、透析中はどうしても軽い炎症反応が起こり、体の中の炎症物質が上がりやすくなります。そこに歯周病の炎症が加わると、全身の炎症がさらに悪化し、血管へのダメージが増大します。炎症に弱い臓器である心臓の病気のリスクが特に高くなります。
免疫が低下している方
抗がん剤治療、ステロイド治療をされている方、自己免疫疾患がある方は免疫が低下しています。同時に歯周病菌の繁殖を防ぐ唾液の分泌も低下していることが多いため、重い感染症に発展することがあります。また、妊娠中の方も免疫力が低下することがあります。歯周病が早産や低体重児出産のリスクを7倍高めるというデータもありますので、しっかり治療とケアをしておきましょう。
人工関節を入れている方
人工関節置換術の1〜2%に発生する人工関節周囲感染は、非常に稀ながらも壊滅的な合併症であり、死亡率は最大11%に達します。一度感染すると、長期の抗菌薬投与や再手術(人工関節の抜去・再置換)が必要になり、生活の質を大きく損ないます。この感染の大部分は人工関節周囲組織(人工関節が埋め込まれている骨やその他の組織)に由来しますが、最近の研究では、口腔内の歯周病がこの直接的な原因ではないものの、人工関節に細菌が定着する「重要な貯蔵庫」だと示されています。非常に稀な症状ではありますが、せっかく入れた人工関節を無駄にしないためにも、歯周病は無くしておきたいですね。
歯周病リスクが唾液で分かります
歯周病のリスクはそれぞれのお口の状況によって変わります。唾液を検査することによって、あなたの歯周病リスクが分かります。検査の結果から、現在気をつけるべき点や、将来考えられることを予測することも可能です。
分析結果は、以下のような表で出てきます。これをもとに、当院の歯科衛生士が気を付けるべき点、考えられる将来リスクを説明させていただきます。また、あなたに最適なケアプランを立てていくことで、歯科医院でのメンテナンスやご自宅でのホームケアがより効果的なものになってきます。




